Jam 2023年6月号
これまで被相続人が共同相続人の一人を死亡保険金 の受け取り人にした場合に、その保険金を相続財産と同 様に考えるかどうかが問題とされてきました。民法で は、903条1項で、被相続人から財産をもらっていた共同相続人 がいる場合には、その財産の額を遺産に含めて相続分を算定して、 その額を控除した残額がその共同相続人の相続分とすると定めら れていますが、死亡保険金も被相続人からもらったと同じように考 えることができるかどうかという問題です。 この問題については 平成 16年 の最高裁判決で、死亡保険金は、先 ほどの被相続人からもらった財産 わけではないのの、保険 金の額、それの遺産に対する比率、他の共同相続人との関係、各相続 人の生活実態などのいろいろな要素を総合的に考慮して、他の相続 人との間に生ずる不公平が先ほどの法律の趣旨に照らして、とて 認められないほど著しいと評価できるという場合には、被相続人か らもらったもと考えて遺産に加えてもよいと判断しました。 それでは、ご相談の場合が認めることができないほどの不公平で あるかを考えますと、保険金は死後のお嫁さんの生活を保障するも のと考えられますが、これまで借家住まいで母親の生活を支えてき ましたし、お嫁さんは不動産を相続することもなくこれからも借家 住まいを続けなければならないのでしょうから、死亡保険金の額が 一般的な額よりも比較的高額という事情がなければ、不公平とは言 えないと思われます。 息子は結婚を機に私 たち夫婦と別居するよ うになりました。私は専 業主婦で、夫が亡くなっ た後は夫が遺した家に住んで、息子か らの仕送りで暮らしてきました。な お、息子はずっと借家住まいをしてお ります。 最近、息子ががんで亡くなりした が、息子は生前、妻である嫁を受取人 としていくつかの保険契約を結んで おりました。 息子の相続人は私と嫁の2人だけ なのですが、嫁が受け取る保険金の額 は、息子の遺産の何倍にもなります。 法律にしたがって、息子の遺産の3 分の2を嫁が受け取るのは不公平な ように思われるのですが、どうなので しょうか? よろず 法律相談室 令和5年の税制改正において相続時精算課税制度に改正がおこなわれ、令和6年1月1日以降におこなわれる 贈与については、これまでの特別控除額2,500万円に加え、年間110万円までの基礎控除が新設されます。 相続時精算課税制度とは、累計2,500万円までの贈与が非課税となり、相続が発生した際に制度の適用を受 けた贈与すべてを相続財産に加算し相続税の課税対象とする制度です。現行の制度では相続時精算課税制度 を選択した財産はすべて相続財産に加算されていましたが、今回の改正では年間110万円までの基礎控除が創 設され、年間110万円以下の贈与財産は相続財産に加算されません。また、現行制度ではその額にかかわらず贈 与のあった年には贈与税申告が必要でしたが、改正後は年間110万円以下の贈与は申告不要となります。 相続時精算課税制度はこれまで、単に課税されるタイミングを遅らせる制度でしたが、この改正によって、贈与 税・相続税のいずれもかからない贈与が可能となりました。納税者にとっては制度が使いやすくなったといえるた め、今後の贈与では相続時精算課税制度を利用することで、より高い節税効果をもたらすケースが増えてくる可 能性があります。 Jam 2023 June A Q 亡くなった息子の多額 の保険金と遺産を嫁 が受け取るのは不公平 はないでしょうか? Part.264 弁護士 東 拓治 お答えするのは 相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました! 税金・相談・開発・不動産の事ならズバリ! 今回の知っ得担当 vol. 165 相談課 吉野 和希 知っ コーナー 得 13
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