Jam 2024年9月号
福岡外環状道路を橋本から 野多目方面へ車を走らせると、 福大トンネルの手前で「梅香る 町 梅林」という文字と壁画が 目に入ります。この壁画を制作 したのが、吉田由良さんが代 表を務める梅香る町プロジェク トです。 スタートは、平成 28年のこ と。吉田さんは、国道沿いに梅 の木を植樹することを提案し ますが、「実現はむずかしいだ ろう」と周囲から懐疑的な目 を向けられていたそうです。そ れでも吉田さんはめげず、国道 を管理する国土交通省に植樹 計画を持ち込みます。 「国土交通省の担当者がまちづ くりのボランティアに理解があ る方で、思ったよりも早くに視 察に来てくれました」 その後スムーズに事が進ん で、無事に植樹の許可が下りま した。植える梅の木の種類にも 吉田さんは知恵を絞ります。 梅の実が車道に落ちると、いろ いろと不都合があるので、実の ならない枝垂れ梅を植えるこ とに。 最初に植えた国道沿いの梅 の木は8本。梅林地区は1丁目 から7丁目まであるので、それ ぞれの自治会長の了承を得て 各丁のシンボルとして7本の梅 を植樹しました。最後の8本目 を植えたのは、梅林中学校生 徒です。 「この活動には、私達が阪神・ 淡路大震災を経験したことが 大きく影響しています」と吉田 さん。平成7年震災発生時、 吉田 夫妻は、当時暮らして いた大阪で被災しました。その 後、心機一転陶芸工房を構える ために福岡にUターンします が、平成 17年には福岡県西方 沖地震、平成 28年には熊本地 震が起こり、九州に甚大な被 害をもたらしました。 「被災地のその後を見ていて気 づいたことがあります。住民同 士のコミュニケーションの密度 が濃い地域ほど、立ち直るス ピードが早いのです」 梅の木を植えることによって 景観が良くなることだけがこ の活動の目的ではありません。 この植樹運動がきっかけとなっ て、住民同士にコミュニケーショ ンが生まれ、地域信頼の輪が 広がっていく。そうすれば、万 が一災害に見舞われても、協働・ 関西からUターンし、梅林に陶芸工房を定 めました。「梅林なのに梅がない」という地 元の方の声を聞き、梅の植樹を発案。 共創の精神で、住民同士が助 け合うことができる。そう吉田 さんは考えたのです。プロジェ クトによる梅の木植樹エリ アは、福大トンネル南側の「梅 の広場」など、年々広がってい ます。現在までに120本以上 が住民たちの手で植えられま した。 福大トンネル横壁画が制 作されたのは令和3年。梅林中 学校の生徒を中心に、その父 兄や地域住民が協力し、高さ 5 m 、幅 14 m の大作が完成しま した。すでに町ランドマーク として定着し、福岡市都市景 観賞を受賞しました。 さらに、令和年、菩提寺の 本堂に、ピカソの『ゲルニカ』 をモチーフにした壁画を描き ました。福岡大学美術部に加 え、梅林中学校の生徒も制作 に参加しています。 毎年2月には「梅の広場」で 梅見会も開催されます。今年 は、子どもも飲める甘酒や綿 菓子の無料振る舞いを実施。 多くの人が訪れました。住民の 想いが詰まったの木は、これ からもきっと美しい花を咲かせ ることでしょう。 協働・共創の文化を育むべく、地域でさま ざまな活動をおこなっています。地名にちな み、梅の木の植樹に取り組むほか、地元の 中学生とコラボして大壁画を制作しました。 梅香る町プロジェクト代表 Jam 2024 September 福大トンネル南側の「梅の広場」に植樹する際には、吉田さ んが模型を制作し、国土交通省でプレゼン。 梅香る町 プロジェクト 福岡市城南区 吉田 由良 さん 梅の木の植樹が結ぶ地域住民の信頼 認定活動 答えてくれた人 バンクシーの作品 を彷彿とさせる、少 女が描かれた赤いハシ ゴは、実際に上るこ とが可能 05
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