Jam 2022年9月号

天神から車で 30分と少しの 距離にある上ノ原地区は、叶 嶽のふもとに位置する、のど かで風光明媚な里山です。  この地で昭和 50年から活動 を続けている団体が叶会。定 年退職した後も地域に貢献を することを目的に発足しまし た。当初の入会資格は 55歳か ら 59歳までと定められていま したが、地域の高齢化が進み、 現在は 56歳から 72歳までの会 員で構成されます  今回、「元気なふるさと応援 基金」の認定の対象となった のは、叶嶽山道や叶嶽神社 の整備活動です。 「私が 30代のころは、叶嶽の頂 上まで、早ければ 20分で上がっ たものですが、今では1時間 半くらいかかります」  そう語ってくれたのは、叶 会で会計を担当している 濵信弘さん。今年で 69歳です。 「上ノ原地区には林業や造園業 に携わる方も多いので、その 方々の手も借りて山道整備 をおこなっています」  叶会は、ほかにも鉢伏山観 音のお堂の管理や、慰霊祭・ 盆踊りの際の会場設営、運営 の手伝いなど、上ノ原地区の 風土を守る活動をおこなって います。そんな具体的な活動 の根底には、次のような叶会 の存在意義があると濵さんは 話します。 「地区の中で年齢の分け隔てな く話をする機会をもつの結 構難しいものですが、叶会に 入れば会員同士で腹を割って 話をすることができます」  濵さんたちが現在頭を悩ま せているのは、会員の高齢化 とそれに伴う会員の減少。 「この地区の住民はみんな仲 いい。若い方も自分の殻を破っ て叶会に飛び込んでくれたら、 先輩からいろいろな話が聞け るし、年齢を超えた絆ができ ます。そういうことを伝えな がら、今年は会員を増やした いと思っています。移住して きた方も大歓迎です」  上ノ原地区には信号があり ません。山肌をぬ 日向峠 と繋げてはどうかという案も ありますが、車が増えるとの んびりとした良さが失われ ので、多少不便でも現状を維 持したいという声が多いそう です。先祖代々守ってきた美 しいふるさとを未来に残すた め、叶会はこれからも活動を 続けていきま ふるさとの美しい景色と 代々育んだ人の縁を 次世代にも残したい 叶会 ● 認定活動 上ノ原町内行事支援および地域活 性化取組みのほか、叶嶽・叶嶽神 社の景観維持、安全確保作業 ● 会計担当 さん 福岡市西区 Jam 2022 September 大雨や台風の後は山道の整備も特に大変です 上ノ原地区で生まれ育ち、60歳 になって「小さなことでも地域の 役に立ちたい」と叶会に参加 濵 信弘 1 04

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