Jam 2022年9月号

鮮魚店、青果店など、昔なが らの商店と軒を並べているの は、ベトナム料理店にベトナ ム食材の店、韓国家庭料理、 中国点心の店など。そして、 アーケードの天井からは、中 華風の赤いランタンが吊り下 げられています。ここはJR 吉塚駅からもほど近い商店街、 吉塚市場リトルアジアマー ケットです。  最盛期には150以上の店 が軒を連ね、大いににぎわいま したが、時代の変遷とともに 徐々に客足は遠のき、店舗も減 少。令和2年には既存店舗は 30 店を残すのみとなりました。  市場の再興ために立ち上 がったのが、河津善博さんで す。現在は総合食品会社の会 長の座にありますが、その会 社のルーツは河津さんのお父 さんが昭和 24年に市場に開い た 70坪の鶏肉販売店でした。 「私も若いころは鶏肉店の店頭 に立ちました。そのころは本 当にぎやかでした」と当時 を振り返る河津さん。  にぎわいを取り戻そうと河 津さんは頭をひねります。そ んなある日、吉塚界隈でアジ ア系の若者の姿をよく見かけ ることに気づきました。 「この周辺には外国人向けの学 校が3つあるんです。彼ら、ア ジアの若者が集えるようにし ようと思ったんです」  アジア料理店や食料品店な どの誘致を急ピッチで進め、 令和2年 12月に吉塚市場がリ ニューアルオープンします。  新しい吉塚市場は、ただ人 を呼ぶだけではなく、アジア 各国から来た若者たちをサ ポートすることも目指してい ます。多目的スペース「アジア ンプラザ」では、外国人向けに ビザ取得の相談会などを実施。 また、ミャンマーでの慈善活 動を通じ、アジアの人々が信 心深いことを知っていた河津 さんは、釈迦像とガネーシャ 像を設置しました。新型コロ ナ感染状況が改善してから、 お参りに訪れる人が徐々に増 えているそうです。  新型コロナ禍で厳しい時期 が続きましたが、今後市場は さらに進化すると河津さん。 「将来的には、アジアンプラザ を仕事を求めているアジアの 若者と日本企業の出会いの場 にしたいと考えています」  未来の市場の姿 を想像すると ワクワクし ますね。 アジアならではの人情と おいしい料理が 商店街を活気づける 吉塚商店 連合組合 ● 認定活動 アジア料理店や多目的スペースを目 玉とした吉塚市場リトルアジアマー ケットプロジェクト ● 組合長 さん 福岡市博多区 Jam 2022 September 銭湯をリノベしたミャンマー料理店も人気 長年にわたってミャンマーで慈善 活動をおこなってきた経験が、商 店街活性化でも生きました 河津 善博 2 05

RkJQdWJsaXNoZXIy NzkzNzI=