Jam 2023年2月号

民法上、期間の定めのない使用貸借の終了 は、契約の定めた目的にしたがった使用収益が 終わったときか使用収益を終える前であって も、使用収益をするのに足りる期間が経過したときとされ ています。 親族間では使用貸借契約が締結される場合が多く、期間 が経過するとともに仲違いがあったり、相続が発生したり して、終了の有無が問題となることが少なくありません。 そのような場合には、裁判所は事案別に背景事情を考慮し て弾力的に判断している場合が多く見受けられます。  そこで、ご相談の件と同じようなケースで争われた裁判 例があります。その裁判所は、建物が老朽化していないの で土地の使用を終えたとはいえないとしながらも、父親と 長男の同居を前提として使用貸借契約が締結されたうえ で、建物が建てられたという事情がありその両者が同居 せず、長男に代わって次男が父の跡継ぎとされた遺言がな されたことから考えると、この使用貸借契約は、父跡継 ぎとして同居するという前提を満たさなくなったときは 土地を明け渡すのに相当な期間が経過した場合には終了 すると考えてよいとしました。そし、ローンの負担があ る場合には相当な期間は経過したとはいえないが、弟が代 わりに完済すれば終了したと考えてよいとしました。  数年前に母が他界し、次いで父 も亡くなって、兄と私の2人が残 されました。  父は生前、所有する土地に兄と同居するつ もりで期間を設けず、建物を建てて居住する ことを目的とする使用貸借契約交わしまし た。兄はその上に自宅を建てましたが、父との 同居を嫌がり、妻の家に婿入りして父とは疎 遠になりました。  それで父は、土地は私に譲り、預貯金は兄弟 に半分ずつ与えるという遺言を残しました。  そこで、土地を相続た私は兄に立ち退い てもらいたいと思っていますが、兄の自宅は まだ老朽化しているとはいえません。また、兄 は自宅を建てるのに金融機関から借り入れを しており、そのローンがまだ残っています。  このような状況で、仮に裁判をしたとして、兄 を立ち退かせることができるのでしょうか? よろず 法律相談室 自筆証書遺言は、自書さえできれば遺言者本人のみで作成でき、手軽で自由度の高いものです。しか し、遺言者本人の死亡後、相続人などに発見されなかったり、一部の相続人などにより改ざんされたり するなどのおそれが指摘されています。そこで、自筆証書遺言のメリットを損なわず、問題点を解消す るための方策として、「自筆証書遺言書保管制度」が創設されました。 自筆証書遺言書保管制度の主なメリットは、①遺言の形式ルールのチェックを受けられる、②法務局 の保管によって偽造や書き換えを防ぐ、③死亡時に遺言の存在が相続人などに通知される、④家庭裁 判所の検認の必要なし、⑤費用が安価、などがあげられます。 これまで、遺言を確実に残すには公正証書遺言書を作成する必要がありましたが、自筆証書遺言書保 管制度ができたことによって、公正証書遺言よりも手軽に、かつそれほどお金をかけずに遺言を残せ るようになりました。制度の利用が広がって遺言書を書く人が増えれば、遺産分割によるトラブルが減 るかもしれません。 Jam 2023 February A Q 両親が他界し、土地を 相続しました。その土 地に自宅を建てた兄 に立ち退きを求めるこ とはできるのでしょう か? Part.260 弁護士 東 拓治 お答えするのは 自筆証書遺言書保管制度について 税金・相談・開発・不動産の事ならズバリ! 今回の知っ得担当 vol. 161 JA福岡市 相談課 坂井 勤 知っ コーナー 得 13

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