Jam 2024年3月号
らしさを伝えるJA福岡市 「食農ティーチャー」としても 活躍しています。実は、「食農 ティーチャー」第1号は、山本 さんなのです。 人間も自然のサイクルで 食べる野菜を選んでいる そんな山本さんに、旬野 菜を食べるメリットを聞いた ところ、「メリットと言うか、 その季節に食べたくなる野菜 こそが旬のもの」という答え が返ってきました。 山本さんにはバイブルと も言える一冊があります。 『朝 取り ホウレンソウは新鮮 か? ̶ 相馬 博士の旬野菜 読本』(農山漁村文化協会) です。著者の相馬暁さんは、 北海道を拠点に、農業の大切 さを説くとともに、若手の農 業経営者を育てた農業博士。 本のタイトルは、ホウレンソ ウは朝に収穫するよりも夕方 に収穫した方が、栄養価は高 いという研究結果に由来しま す。山本さんいわく、この本 は自身が抱いていた農業に対 する固定観念を壊してくれた そうです。 なぜ人が旬の野菜を求める のかも、相馬博士はこの本に 綴っています。それは、人間 も動物と同じように自然のサ イクルに沿って生きているの だという考え方です。 例として挙げられているの は、熊のライフサイクルです。 熊は春に冬眠から目覚めると 山菜など刺激が強いものを食 べて、体を活性化します。夏を 精力的に過ごした後、秋は冬 眠に備えて栄養たっぷりのもの を食べ、冬は眠って過ごす。つ まり、熊はそれぞれの季節で 本能的に必要だと判断したも のを選んで食べているのです。 山本さんは、人間も熊と同 じだと考えていす。 「人間も季節ごとに、体が自 然とその季節の旬の野菜を求 めるんです。 〝 旬だから、これ を食べなくてはいけない 〞 と いうのではなく、あなたが 今食べたい野菜が 〝 旬 〞です。 その食べたいという気持ちに 従って野菜を選べばいい」 外来種を定着させた 先人へのリスペクト 日本の風土に根差した野菜 を基準に「旬」を考えると、 就農のタイミングで 野菜をじっくり学ぶ 旬の菜について教えても らおうと訪ねたのは、早良区 小田部で農業を営む山本喜世 憲さん。山本さんは、野菜ソ ムリエの最上級資格である 「野菜ソムリエ上級プロ」を取 得。九州および沖縄の農業従 事者でこの資格をもっている のは、山本さんだけです。 そもそも、どうして野菜ソ ムリエの資格を取ろうと思っ たのでしょうか? 「僕が農業の道に進んだのは 30歳のときで、それまでは建 設業界で働いていました。父 が農作をする姿は見ていた のですが、自分は農業のこと をまったく知らなかったので、 まずは野菜のことを勉強しよ うと思って、野菜ソムリエの 講座を受講したんです」 野菜ソムリエの勉強をした ことによって、それまでは気 づかなかった野菜の面白さに 目覚めたという山本さん。 「野菜ソムリエが目的として いるのは、野菜の魅力や楽し み方を伝えることなんですよ ね。直売所で売るにしても、 ただ、野菜にバーコードを 貼って店頭に並べだけでは なくて、その野菜に込められ た農家の想いやこだわりを魅 力として伝えることができれ ば、野菜の価値が高まると気 づいたんです。僕自身も、そ ういう野菜とその栽培にまつ わる 〝 物語 〞 を伝えていくこ とで、栽培面積は変わらない のに、収入は当初の3倍から 5倍にまでなりました」 生産者の顔やパーソナリ ティが見えるこ 消費者 は親しみを感じるし、それは 結果的に、生産者へ信頼感 につながっていきます。山本 さんは、店頭に掲示する工夫 を凝らしたポップなどで、そ の〝 物語 〞をお客さんにアピー ルしてきました。 「大学で国文学を勉強したこ ともあり、ポップに文章を書 いて表現することが、苦にな らないんですよね」 山本さんは野菜ソムリエの 知識を生かして、管内の人々 や子どもたちに食と農のすば 結構ややこしいことになると も教えてくれました。 「なぜなら、日本原産の野菜 は本当に少ないからです。ウ ドやワサビといった山菜くら いじゃないでしょうか。大根 の種は中国から持ってきたも のですし、キュウリも中国が 原産。ナスはインド東部が原 産で中国を通って日本に来ま した。こういった海外の野菜 を高温多湿の気候の日本で栽 培するのは難しかったはずで す。それを日本に根付かせた 先人の苦労思うと、 〝 旬 〞の 定義も決めにくい。やはり、 自分はなにが食べたいんだろ うということを、自分に問う のが一番だと思います」 体が発する声に耳を澄ませ て野菜を選べば、おのずと旬 の野菜を選ぶはずというのが 山本さんの理論。体が必要と しているから、旬の野菜は、 ひときわおいしいとのこと。 一方で、ヨーロッパでは、ト マトをピューレにして瓶詰め にしたりと、旬の時期以外で も、野菜をおいしく食べられ るように工夫しています。こ の、旬を「ズラす」いうこ とも、野菜を楽しむうえで重 要です。 〝 旬 〞 という言葉にと らわれるのではなく、自由に 野菜のおいしさを楽しむこと が大事かもしれませんね。 日本 野菜ソムリエ協会が認定する資格で、こ れま でに6万人以上が取得しています。掲げ てい る目標は「生産者と生活者の架け橋とな る」 こと。野菜や果物の幅広い知識を身につけ たソ ムリエたちは、農業や食育活動のほか、青 果販 売、料理教室、セミナー講師など、さまざ まな 分野で活躍しています。 ht tps://www.vege-fru.com/ 04 Jam 2024March 野菜ソムリエ って どんな資格? 野菜のチカラ 旬
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